F値の基本と実践 | 絞り値を設定 | カメラでの効果を理解してボケを操る

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皆様、こんにちは!
カメラマン兼ライターのMIYABIです。本記事では、写真撮影の要となる「F値」について解説していきます。

F値は、カメラのレンズに付いているダイヤルで調整できる、まさに魔法のような存在です。この記事を読めば、あなたも写真のボケ感を自在に操れるようになります!

F値とは?基本の「き」 | 絞り値 

F値(絞り値)を計算する公式

F = f / D

( F ) はF値(絞り値)
( f ) はレンズの焦点距離(mm)
( D ) はレンズの絞り開口部の直径(mm)

この公式によって、レンズの焦点距離と絞り開口部の直径の比率を求めることができます。F値が小さいほど、開口部が大きくなり、より多くの光がセンサーに届くため、背景がぼけやすくなります。逆にF値が大きいと、開口部が小さくなり、より広い範囲にピントが合うようになります。

まずは、F値の基本から押さえていきましょう。F値とは、レンズの絞りの大きさを表す数値のことです。具体的には、レンズの焦点距離を絞りの直径で割った値になります(上の公式を参照)。

例えば、焦点距離50mmのレンズで、絞りの直径が25mmの場合、F値は2(50÷25=2)となります。このとき、「F2」と表記します。

一般的なF値の数列は以下の通りです:
F1.4, 2, 2.8, 4, 5.6, 8, 11, 16, 22

数値が小さいほど絞りが開いていて、大きいほど絞りが閉じていることを表します。この数列は、1段階ごとに光量が半分(または2倍)になるように設定されています。

*絞りの値が√2倍になると明るさが2倍になる理由は、絞りが円形で円の面積はπr^2で求められることから半径が√2倍になると円の面積が2倍になるためです。

F値を操るカメラのダイヤル

では、実際にF値を変更するにはどうすればいいのでしょうか?多くのカメラでは、本体上部や背面にあるダイヤルを回すことでF値を調整できます。最新のデジタルカメラでは、タッチパネルで操作できるものも増えてきました。

カメラによって操作方法が異なるため、お使いのカメラの取扱説明書を確認してみてくださいね!

  • Canon:多くのモデルで背面のダイヤルを使用します。
  • Nikon:多くのモデルでコマンドダイヤルを回してF値を変更します。
  • Sony:多くのモデルで前面のダイヤルを使用します。

*オールドレンズや一部のレンズは、レンズ側で絞りが変更できるものがあります。

F値とシャッタースピード、ISOの関係性

F値を語る上で、シャッタースピードやISOとの関係を押さえておくことは非常に重要です。この3つは「露出の三角形」と呼ばれ、適正露出を決定する上で密接に関わっているからです。

基本的に、F値を1段階小さくする(例:F8からF5.6へ)と、レンズに入る光の量は2倍になります。逆に、F値を1段階大きくする(例:F4からF5.6へ)と、光の量は半分になります。

この光の量の変化を補正するために、シャッタースピードやISOを調整する必要があります。例えば:

  • F値を5.6から4に変更(1段階明るく)した場合、シャッタースピードを1/250秒から1/500秒に変更(1段階速く)
  • F値を8から11に変更(1段階暗く)した場合、シャッタースピードを1/125秒から1/60秒に変更(1段階遅く)

または、ISOを調整することもできます:

  • F値を5.6から4に変更(1段階明るく)した場合、ISOを400から200に変更(1段階感度を下げる)
  • F値を8から11に変更(1段階暗く)した場合、ISOを400から800に変更(1段階感度を上げる)

このように、F値とシャッタースピード、ISOをバランス良く調整することで、適正露出を維持しながら、狙った表現を実現できるのです。

カメラの露出は下記の記事で執筆しています!

F値の選び方:シーン別ガイド

では、実際の撮影シーンでどのようにF値を選べばいいのでしょうか?ここでは、代表的なシーンごとにおすすめのF値を紹介します。

1. ポートレート撮影

人物写真では、背景をぼかして被写体を際立たせたい場合が多いですよね。そんなときは、小さいF値(F1.4〜F2.8あたり)を選びましょう。背景が美しくぼけて、まるでプロが撮影したような仕上がりになります。

例えば、SIGMA 85mm F1.4 DG DNを使えば、F1.4の大口径で驚くほど美しいボケ味が得られます。被写体の目にピントを合わせれば、まつ毛の1本1本まで鮮明に写り、背景はふわっとぼけるんです。

ポートレート撮影でのF値選びのコツ:

  • 1人撮影:F1.4〜F2.8
  • 2人撮影:F2.8〜F4(被写界深度を少し深くして、両者にピントを合わせやすくする)
  • 全身ポートレート:F4〜F5.6(被写体全体にピントを合わせやすくする)

2. 風景写真

広大な風景を撮影する際は、画面全体にピントを合わせたいですよね。そんなときは、大きめのF値(F8〜F11あたり)がおすすめです。被写界深度が深くなり、遠くの山から手前の花まで、すべてクリアに写すことができます。

先日、富士山を撮影した際は、Canon RF 24-105mm F4L IS USMレンズをF11に設定しました。山頂の雪から手前の湖面まで、すべてシャープに写すことができ、大満足の結果が得られました。

風景写真でのF値選びのコツ:

  • 晴れた日の風景:F8〜F11
  • 夜景:F4〜F8(光量を確保しつつ、ある程度の被写界深度を維持)
  • 星空:F2.8〜F4(できるだけ多くの光を取り込む)

3. スポーツ・動物撮影

動きの速い被写体を撮影する場合は、十分な光量を確保しつつ、シャッタースピードを速くする必要があります。そのため、比較的小さいF値(F2.8〜F4あたり)を選ぶことが多いです。

先日、サッカーの試合を撮影した際は、1/1000秒以上の高速シャッターで、選手の動きを完璧に捉えることができました。

動体撮影でのF値選びのコツ:

  • 明るい屋外:F4〜F5.6
  • 屋内や薄暮時:F2.8〜F4
  • 野鳥撮影:F4〜F5.6(ピントの許容範囲を少し広げる)

4. マクロ撮影

花や昆虫などの小さな被写体を大きく撮影する場合、被写界深度が非常に浅くなります。そのため、やや大きめのF値(F8〜F16あたり)を選ぶことで、被写体全体にピントを合わせやすくなります。

マクロ撮影でのF値選びのコツ:

  • 被写体全体をシャープに:F11〜F16
  • 背景をほんのりぼかす:F5.6〜F8
  • フォーカススタッキング使用時:F5.6〜F8(複数枚の写真を合成するため、各ショットの被写界深度は浅めでOK)

5. 街角スナップ

街の雰囲気を切り取るストリートスナップでは、状況に応じて臨機応変にF値を変える必要があります。一般的には、ある程度の被写界深度を確保しつつ、薄暮時でも撮影できるよう、中間的なF値を選びます。

街角スナップでのF値選びのコツ:

  • 晴れた日中:F5.6〜F8
  • 夕暮れ時:F2.8〜F4
  • 夜間:F1.8〜F2.8(使用レンズの開放F値による)

F値とボケ味の関係

F値の魅力といえば、なんといってもボケ味の調整でしょう。小さいF値で撮影すると、ピントの合っていない部分が美しくぼける「ボケ味」が得られます。これは、ポートレートや商品写真などで重宝される効果です。

ボケ味の質は、レンズの設計や絞り羽根の枚数によっても変わってきます。一般的に、高級レンズほど美しいボケ味が得られると言われています。

例えば、F1.8という大口径レンズでは背景をぼかしつつ、被写体の目や肌のテクスチャーを驚くほど鮮明に写し出すことができます。

一方で、風景写真などでは、画面全体にピントを合わせたい場合もあります。そんなときは、F8〜F11あたりの比較的大きなF値を選ぶことで、前景から背景まで鮮明に写すことができます。

ボケ味を活かすためのF値選びのコツ:

  • 背景を大きくぼかす:F1.4〜F2.0
  • ほどよいボケ味:F2.8〜F4
  • 前ボケを楽しむ:F1.4〜F2.0(被写体の手前に花や葉っぱなどを配置)

F値と光量の関係

F値は、レンズに入る光の量も制御します。F値を小さくすると(絞りを開くと)、より多くの光がセンサーに届きます。これは、暗い場所での撮影や、速いシャッタースピードが必要な場面で役立ちます。

例えば、コンサート会場のような薄暗い環境で撮影する場合、F2.8以下の明るいレンズを使用することで、ISO感度を上げ過ぎずに済み、ノイズの少ないクリアな写真が撮れます。

一方、晴れた日の屋外など、明るすぎる環境では、F値を大きくして(絞りを絞って)光量を制限する必要があります。F16やF22といった小さな絞りを使うことで、まぶしい太陽の下でも適正露出を得られます。

光量調整のためのF値選びのコツ:

  • 暗い室内:F1.4〜F2.8(レンズの開放絞り)
  • 晴れた屋外:F8〜F16
  • 夕暮れ時:F4〜F5.6
  • 夜景:F2.8〜F4(三脚使用時はF8〜F11も可)

F値と被写界深度の関係

F値は、被写界深度(ピントの合う範囲の奥行き)にも大きく影響します。小さいF値ほど被写界深度は浅くなり、大きいF値ほど被写界深度は深くなります。

浅い被写界深度(小さいF値)の特徴:

  • 被写体を目立たせやすい
  • 背景をぼかして気が散るものを隠せる
  • 立体感が出やすい

深い被写界深度(大きいF値)の特徴:

  • 画面全体にピントを合わせやすい
  • 細部まで鮮明に写せる
  • 平面的な印象になりやすい

例えば、料理写真を撮影する際、F2.8程度の小さいF値を使うと、メイン料理にピントを合わせつつ、背景の食器やテーブルクロスをふんわりとぼかすことができます。これにより、視聴者の目をメイン料理に引き付けることができるんです。

一方、建築物の全景を撮影する場合は、F8やF11といった大きいF値を使うことで、建物の手前から奥まで、すべての細部を鮮明に写し込むことができます。

被写界深度を活用するためのF値選びのコツ:

  • ポートレート(顔のみ):F1.4〜F2.8
  • ポートレート(全身):F4〜F5.6
  • 風景写真:F8〜F16
  • 料理写真:F2.8〜F4
  • 建築写真:F8〜F11
  • グループショット:F5.6〜F8

F値と回折の関係

ここで、あまり知られていない「回折」という現象について触れておきましょう。F値を極端に大きくすると(例:F22以上)、光が絞りの縁で曲がってしまい、画像全体のシャープさが低下することがあります。これを「回折」と呼びます。

多くのレンズでは、F8〜F11あたりが最も解像度が高くなるポイント(スイートスポット)だと言われています。風景写真など、画面全体の解像度を重視する場合は、このあたりのF値を選ぶのがおすすめです。

ただし、これはあくまで一般論。使用するレンズや撮影状況によって最適なF値は変わってきますので、いろいろな設定で試し撮りをしてみるのがいいでしょう。

回折を避けるためのF値選びのコツ:

  • 一般的な撮影:F8〜F11
  • 解像度重視の風景:F8〜F11
  • マクロ撮影:F11まで(それ以上は回折の影響が出やすい)

F値とレンズの特性

同じF値でも、レンズによって得られる効果は微妙に異なります。例えば、同じF1.4でも、35mmレンズと85mmレンズでは、ボケ具合や被写界深度が全く違います。一般的に、望遠レンズほど背景をぼかしやすい特性があります。

また、マクロレンズなど、特殊な設計のレンズでは、F値の効果が通常のレンズとは異なる場合があります。例えば、多くのマクロレンズは、至近距離での撮影時に実効F値が変化します。F2.8のマクロレンズで等倍撮影すると、実効F値はF5.6程度になることがあるんです。

私が愛用しているCanon EF 100mm F2.8L マクロ ISは、通常撮影からマクロ撮影まで、幅広い用途で活躍してくれます。マクロ撮影時は、F8〜F11あたりに設定することが多いです。この設定で、小さな被写体の細部まで鮮明に写すことができるんです。

レンズの特性を活かすためのF値選びのコツ:

  • 標準レンズ(50mm前後):汎用性が高いので、F1.8〜F11まで幅広く使用
  • 広角レンズ(35mm以下):風景ならF8〜F11、スナップならF5.6〜F8
  • 望遠レンズ(85mm以上):ポートレートならF1.4〜F2.8、スポーツならF2.8〜F4
  • マクロレンズ:細部表現重視ならF8〜F11、背景ぼかしならF2.8〜F4

スマートフォンカメラのF値

最近のスマートフォンカメラは非常に高性能で、中にはF値を調整できるものもあります。ただし、多くの場合、これは光学的なF値ではなく、ソフトウェアによる擬似的な効果であることに注意が必要です。

例えば、iPhoneのポートレートモードでは、背景をぼかす強さを調整できますが、これは光学的なF値の変更ではありません。同様に、一部のAndroidスマートフォン(GalaxyやXperiaなど)でも、プロモードでF値を調整できるものがありますが、これも多くの場合はソフトウェア処理です。

スマートフォンでF値的な効果を得るコツ:

  • ポートレートモード:被写体と背景の距離を十分に取る
  • マクロモード:被写体にできるだけ近づく
  • プロモード:可能な場合は最小のF値(開放絞り)を使用し、ISOとシャッタースピードで露出を調整

特殊なF値の世界

カメラやレンズの進化により、従来では考えられなかったような特殊なF値も登場しています。例えば:

  1. F0.95レンズ:Leica Noctilux-M 50mm f/0.95 ASPHなど、極めて明るいレンズが存在します。これらは、超低照度下での撮影や、極端に浅い被写界深度を活かした表現に用いられます。
  2. 可変絞りズームレンズ:望遠側でF値が変化するズームレンズがあります。例えば、70-300mm F4-5.6のようなレンズでは、焦点距離を変えるとF値も変化します。
  3. F32以上の超小絞り:一部の大判カメラやマクロレンズでは、F32、F45、さらにはF64といった極小の絞りが使用できます。これらは、極端に被写界深度を深くしたい場合に使用されます。

まとめ:F値を使いこなそう!

F値は、写真表現の幅を大きく広げてくれる素晴らしいツールです。この記事で紹介したポイントを押さえつつ、実際に様々なF値で撮影してみてください。そうすることで、F値の効果を体感し、自分の意図する表現に最適なF値を選べるようになるはずです。

カメラのダイヤルを回すたびに、シャッターを切るたびに、新しい発見があるはずです。F値という魔法のダイヤルを使いこなして、あなただけの素晴らしい写真世界を創造してください!

最後に、F値選びの黄金則をおさらいしておきましょう:

  1. 被写体を際立たせたい:小さいF値(F1.4〜F2.8)
  2. 風景全体をシャープに:大きいF値(F8〜F11)
  3. 暗い場所での撮影:小さいF値(できるだけ開放)
  4. 動きのある被写体:中間的なF値(F4〜F5.6)
  5. マクロ撮影:やや大きめのF値(F8〜F11)

これらの基本を押さえつつ、自分なりのF値の使い方を見つけていってくださいね。

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