CANON RF28-70mm F2.8 IS STM | 実機レビュー
キヤノンが2024年9月27日に発売した「CANON RF28-70mm F2.8 IS STM」が発売日当日に届いたため実機をレビューしていきます。
このレンズはF2.8通しの標準ズームレンズでありながら実売は約18万円とRF24-70 F2.8Lなどと比較すると入手しやすい価格になっています。
商品スペック(仕様)
項目 | 詳細 |
---|---|
焦点距離 | 28-70mm |
レンズ構成 | 12群15枚 *前面にUDレンズ |
絞り羽根枚数 | 9枚(奇数絞り羽) |
最大絞り | F2.8 |
最小絞り | F22 |
最短撮影距離 | AF時:0.27m(28mm時)、MF時:0.24m(28mm時) |
最大撮影倍率 | AF・MF時:0.24倍(70mm時) |
フィルター径 | 67mm |
最大径×長さ | 約Φ76.5mm×92.2mm(収納時) 112.4mm(28mm時) 138.9mm(70mm時) |
質量 | 約495g |
アクセサリー | ・レンズキャップ E-67II (同梱) ・レンズダストキャップ RF (同梱) ・レンズフード EW-73D (別売) ・レンズポーチ LP1116 (別売) |
このレンズの特徴はEOS Rシステム用のレンズとしてLレンズでは無いにも関わらずF2.8通しで28-70mmの焦点距離を実現している点ですね。
MTF曲線図
引用元:キヤノン公式サイト, https://personal.canon.jp/product/camera/rf/rf28-70-f28/spec
公式サイトからの焦点距離28mmと70mmのMTFから性能を分析していきます。
中心部の性能:
両焦点距離とも中心部(0mmの位置)でMTF値が高く(0.8以上)、中心部の解像度が高いことを示しています。
焦点距離70mmの方が中心部の性能がやや優れているようです。
周辺部の性能:
両焦点距離とも周辺部(20mmの位置)に向かってMTF値が低下しています。
28mmレンズは、特に30本/mmの周波数で顕著な低下が見られます。
非点収差:
サジタル線とメリディオナル線の差は非点収差を示しおり、
焦点距離28mmは、特に周辺部で非点収差が大きくなっています。
70mmレンズはS線とM線の一致度が高く、非点収差が少ないです。
解像度:
黒線(10本/mm)は全体的に高い値を維持しており、低周波での性能が良好です。
青線(30本/mm)は値が低く、高周波での性能低下を示しています。
28mmの中心部は十分に使えますが、周辺部の解像度低下に注意が必要です。
70mmは中心から周辺まで安定した解像度が得られそうです。
全体的な比較:
70mmの焦点距離の方が全体的に性能が良く、MTF値が高く、非点収差も少ないです。
28mmの焦点距離は中心部の性能は良好ですが、周辺部、特に高周波での性能低下が目立ちます。
MTF図から28mmのワイド端よりも70mmテレ端の方が、描写性能は高そうですね。ワイド端で使う場合は絞り込んだ方が、収差を抑えられそうですね。
また、RF24-70 F2.8Lと比べるとワイド側の性能はやや落ちますが、テレ側は肉薄する描写です。
レンズの特徴
Lレンズ相当と呼ばれる本レンズの特徴を解説いたします!
前面のUDレンズ
レンズ前面にUDレンズを配置するという従来の設計では中々みられない設計で、中央部のUDレンズと併せて蛍石1枚相当の色収差の補正を実現している。
STM(リードスクリュータイプ)
Lレンズで採用されているUSMを搭載しているわけではないが、リードスクリュータイプのSTMを搭載している。
主に単焦点に採用される事例の多いギアタイプのSTMとは異なり、モーター音の駆動が静かなため動画撮影時もマイクにモーター駆動音が入りづらくなっている。
協調制御対応のレンズ手ぶれ補正(IS)
レンズ内の手ブレ補正として5.5段分の補正に対応し、EOS R6, R5, R3やR1などのボディー内の手ブレ補正を併せることで、協調制御7.5段分のを手ぶれ補正を実現している。
世界最大とされている8段分までの補正には対応していないが、十二分過ぎる手ぶれ補正に対応している。
動画撮影時のフォーカスブリージング補正
カメラの設定から「歪曲収差補正」を「する」に設定することで下記の対応機種の場合フォーカスブリージングの補正を行うことができる。
*CINEMA EOSなどで利用できるかについては現時点では不明である。
<CANONのフォーカスブリージング補正対応機種リスト>
・EOS R1
・EOS R5 Mark II
・EOS R6 Mark II
・EOS R8
・EOS R50
レンズの外観
レンズ外観は通常のRFレンズ同様に黒い筒状で、Lレンズでは無いので赤い帯では無いです。
二連リングで本体側のリングが太くなっています。
側面のスイッチ
レンズの側面には「CONTROL」,「AF」と「MF」を切り替えられるスイッチと「STABILIZER」の入切りを変更できるスイッチがついていました。「CONTROL」をを選択することでレンズ前面側のリングでコントロールリングを操作できるようになるので、カメラ側のメニュー操作からしなくてよくて良いですね。
*「STABILIZER」はレンズ手ブレ補正のISのことです。
本体サイズ(テレ端のレンズ長) | 沈胴式
レンズは沈胴式になっており、仕様する際は24mmの焦点距離の位置までリングを回転する必要があります。
その後、70mmのテレ端までリングを回転させると最大長となり、138.9mmに全長が伸びます。
レンズ口径
レンズの口径はφ67mmでフィルターも装着可能なものになっていました。動画撮影の際は、NDフィルターなども付けたいですね。
また、レンズフードはRF24-105mm F4-7.1 IS STMやRF28-70mm F2.8 IS STMでも使用可能な「EW-78D」がアクセサリーとして別売りで販売していました。
他のRFレンズとの比較
RFレンズモデル | 重量 | 長さ |
---|---|---|
RF28-70mm F2.8 IS STM | 約495g | 約92.2mm |
RF24-105mm F4 L IS USM | 約700g | 約107.5mm |
RF24-70mm F2.8 L IS USM | 約900g | 約125.7mm |
RF28-70mm F2 L USM | 約1,430g | 約139.8mm |
類似した焦点距離や絞り値のRFレンズと比較すると、RF28-70mm F2.8 IS STMが最も軽量かつコンパクトであることがわかります。
RF24-70 F2.8 L IS USM 比較
「RF24-70 F2.8 L IS USM」はMTFを見る限りUDレンズを3枚使用しているため非常に高い描写性能を誇っており、さらにフレアやゴーストを低減するためのASCコーティングが使われています。そのため、描写性能としてはLレンズの「RF24-70 F2.8 L IS USM」に軍配が上がりそうです。
重量に関しては「RF24-70mm F2.8 L IS USM」が約900gで「RF28-70mm F2.8 IS STM」が約495gと、
「RF28-70mm F2.8 IS STM」の方が軽量ですね。
総合的に考えると、ワイド端が24mmまで必要なのか、描写をどこまで求めるのかによって選択した方がよさそうですね。また、「RF28-70mm F2.8 IS STM」は歪曲収差がカメラ本体でオフにできないことを考えるとソフトウェアでの補正が大きそうなので、そこは好みが分かれそうですね。
RF24-105mm F4 L IS USM 比較
「RF24-105mm F4 L IS USM」は開放の絞りはF4と1段分の差がありますが、焦点距離は105mmと35mmほども長いですね。同じ焦点距離のボケ量は開放で撮影の場合は「RF28-70mm F2.8 IS STM」の方が多くなりますね。
ただし、焦点距離70mmでF2.8の時と105mmでF4の時はほぼ同じボケ量になるため、暗いところやスペースのとれない場所以外は、「RF24-105mm F4 L IS USM」も選択肢として良いと思います。
他社の類似したレンズ
他社の類似した焦点距離と絞りのレンズは下記がありますね。
「RF28-70mm F2.8 IS STM」の優位性は約495gで収納時の全長が約92.2mmである点ですね。
価格帯については他社が10万円前後のため、価格は他社が優勢ですね。
- NIKKOR Z 28-75mm f/2.8
- SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN
- TAMRON 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2 (Model A063)
隠れLレンズ?
「沈胴式」かつ「STM」搭載という点から他のLレンズとは異なりますが、EFレンズ時代に同じ焦点距離で絞り値の「EF28-70mm F2.8L USM」がLレンズとして登場していたことを考えると隠れLレンズと呼べそうですね。
さらに、Lレンズに搭載されることの多い「防塵・防滴」が搭載されています!
CANON RF28-70mm F2.8 IS STM | 総評
今回レビューした「RF28-70mm F2.8 IS STM」はLレンズに肉薄したレンズで軽量コンパクトなレンズでした!
隠れLレンズと呼ばれるのも納得の性能でした。
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