完全ガイド: アクティブノイズキャンセリング(ANC)技術のすべて
Airpods proやWF-1000XM5などのイヤホンに搭載されている「アクティブノイズキャンセリング」について図を用いて解説していきます!
写真の編集の際や音楽を楽しむ際、外部の騒音や雑音が邪魔をすることは避けたいですね。
ノイズキャンセリング技術は、こうした外部のノイズを軽減し、音楽の美しさを最大限に引き出すためのものです。特に、パッシブノイズキャンセリングとアクティブノイズキャンセリングを組み合わせることで、最高のリスニング環境を実現できます。
アクティブノイズキャンセリング(ANC)って何?
アクティブノイズキャンセリング(ANC)は、「Active Noise Canceling」のことで特定の音を打ち消す技術のことです。この技術によって外部の雑音などを大幅に軽減することが可能です。
音の伝わり方を波の形(波形)で示した図を上の画像に示します。青色の波を実際に発生している騒音の波形とし、オレンジ色の波形を騒音を打ち消すための波形とします。
青色の騒音の波形に対して、オレンジ色の凸凹が反対の波形(逆位相の音波)をぶつけることで騒音を消すことができます。これがアクティブノイズキャンセリングの仕組みです。
補足: 青色の波形はイヤホンに搭載されているマイクで拾った雑音で、オレンジ色の波形はイヤホンに搭載されている制御チップによって生成された音波です。
パッシブノイズキャンセリングとは?
アクティブノイズキャンセリングの他に「パッシブノイズキャンセリング」と呼ばれるものがあります。
パッシブノイズキャンセリングは「受動的」なノイズキャンセリングのことで、具体的にはヘッドフォンやイヤホンの構造や素材を利用して騒音を物理的に遮断し、外部のノイズを減少させる方法のことです。
アクティブVSパッシブ: どちらが優れているのか?
アクティブノイズキャンセリング(ANC)とパッシブノイズキャンセリングの主な違いと特徴を比較し下記の表に示します。
アクティブノイズキャンセリング | パッシブノイズキャンセリング | |
---|---|---|
機能の原理 | マイクロフォンを使用して外部のノイズを検出し、それに対して逆位相の音波を生成してノイズを打ち消す | 製品の物理的な構造や素材を利用して外部の音を遮断する |
効果 | 低周波のノイズ(例: エンジンの騒音や電車の振動など)を特に効果的に減少させることができる | 高周波のノイズ(人々の話し声や風の音など)の減少に効果的 |
電源 | 動作させるために電源が必要 | 電源は不要 |
コスト | マイクや制御チップにコストがかかる | 構造と素材に依存するため、 多くの場合コストは比較的低い |
機能に関しては前述のとおりですが、特に異なるのはアクティブノイズキャンセリングは低周波のノイズ、パッシブノイズキャンセリングは高周波のノイズを減少させることに長けている点です。
パッシブノイズキャンセリングは素材や構造を利用してノイズを減少させるため、電源が必要ないですがアクティブノイズじゃんセリングに関してはマイクロフォンや電子回路、チップに供給する電力が必要です。そのため、ANC対応のイヤホンではノイズキャンセリングがオンだとオフの状態と比較して電池の持ちが悪くなっています。
それぞれのノイズキャンセリングの特長として、
アクティブノイズキャンセリングは低周波のノイズに強く、パッシブノイズキャンセリングは高周波のノイズ減衰に強いです。
そのため、アクティブノイズキャンセリングを搭載したイヤホンなどでは、パッシブノイズキャンセリングの対策も組み合わせて行なっていることが多いです。
補足: アクティブノイズキャンセリングに使用されるドライバーユニット
イヤホンにはドライバーユニットと呼ばれる音を出す部品が搭載されています。
ドライバーユニットには主にDD(ダイナミック)型とBA(バランスドアーマチュア)型の2種類があります。
ドライバーユニットによって特徴は異なりますが、一般的にダイナミック型は低域の再生が得意で、反対にBA型は高音域の再生能力が高いです。そのため、ANC搭載のイヤホンの一部はダイナミック型とBA型のドライバーユニットの両方を搭載したハイブリッドタイプのものがあります。
ダイナミック型は、スピーカーの原理に近い形で動作するため、大きな振動板を有することから重低音を得やすいのが特徴です。このため、ダイナミック型単体のイヤホンでは、低音が強調される傾向にあります。しかし、高音域では再現性がやや劣ることがあるため、BA型のドライバーユニットがその役割を補完します。
BA型は、非常に小さい動きで高精度な音を再現することが可能で、特に中高音域において鮮明で繊細な音を出すことが得意です。しかし、単体のBA型イヤホンは低音域の再現が弱いことが多いため、ダイナミック型との組み合わせが求められることが多いです。
ハイブリッドタイプのイヤホンは、これら2つのドライバーの特徴を最大限に活かし、広い音域での再生能力を追求しています。しかし、それぞれのドライバーの特性をバランスよく活かすための設計やチューニングが重要となり、その品質や技術によって音質の差が大きく出ることもあります。
まとめ
アクティブノイズキャンセリング(ANC)は、特定の騒音を打ち消す技術で騒音の波形に対して逆位相の音波を生成し、騒音を消します。この技術は低周波のノイズに強いので、高周波対策としてパッシブノイズキャンセリングも組み合わせてイヤホンなどに用いられてます。
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