アクティブノイズキャンセリング技術の深掘り | パッシブノイズキャンセリングとも比較 図でわかりやすく解説

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はじめに

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皆さん、こんにちは。街中や電車内、カフェでの撮影時、あるいは編集作業中に気になる周囲の騒音。カメラマンとして、また機材やガジェットについて執筆する身として、この「音」の問題は常に頭を悩ませるものです。そんな中で、近年急速に進化を遂げているのが「アクティブノイズキャンセリング」技術です。

アクティブノイズキャンセリングとは

アクティブノイズキャンセリング(ANC)は、「Active Noise Canceling」のことで特定の音を打ち消す技術です。簡単に言えば、騒音に対して「逆位相の音波」を発生させることで、聞こえてくる騒音を大幅に軽減する仕組みです。

例えば、飛行機のエンジン音やオフィスの空調音など、一定のパターンを持つ低周波ノイズに対して特に効果を発揮します。この技術により、ユーザーは周囲の騒音から解放され、音楽やポッドキャストをクリアに楽しんだり、静かな環境で集中したりすることができます。

アクティブノイズキャンセリングの仕組み

  1. 音の検知
    まず、デバイスに搭載されたマイクロフォンが外部の騒音を検知します。高性能なANCイヤホンやヘッドホンには、複数のマイクが搭載されていることが多く、より正確に周囲の音を捉えることができます。
  2. 信号処理
    検知した騒音信号は、内蔵の信号処理チップに送られます。このチップが騒音の特性(周波数、振幅、位相など)を分析します。
  3. 逆位相音波の生成
    分析結果に基づいて、チップは元の騒音と同じ振幅但し逆の位相を持つ音波(逆位相音波)を瞬時に生成します。この過程は非常に高速で、人間の耳では遅延を感じることはありません。
  4. 音の打ち消し
    生成された逆位相音波は、スピーカーを通じてユーザーの耳に届けられます。この逆位相音波が外部からの騒音と「干渉」することで、両者が打ち消し合い、結果として聞こえる騒音が大幅に減少するのです。
  5. フィードバックループ
    多くの高性能ANCシステムは、常に周囲の音環境をモニタリングし、逆位相音波を調整し続けます。これにより、変化する騒音環境に対しても効果的にノイズキャンセリングを行うことができます。

この一連のプロセスは、私たちの耳に届く前にミリ秒単位で行われます。その結果、ユーザーは劇的に静かになった環境を体験することができるのです。

特筆すべきは、この技術が特に低周波のノイズに効果的だという点です。エンジン音や空調のような持続的な低音は、その波長が長いため予測がしやすく、効果的に打ち消すことができるのです。一方で、突発的な高周波音(例:クラクションや叫び声)に対しては、その予測困難性から効果が限定的になります。

ANCを図で説明

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音の伝わり方を波の形(波形)で示した図を上の画像に示します。青色の波を実際に発生している騒音の波形とし、オレンジ色の波形を騒音を打ち消すための波形とします。
青色の騒音の波形に対して、オレンジ色の凸凹が反対の波形(逆位相の音波)をぶつけることで騒音を消すことができます。これがアクティブノイズキャンセリングの仕組みです。

補足: 青色の波形はイヤホンに搭載されているマイクで拾った雑音で、オレンジ色の波形はイヤホンに搭載されている制御チップによって生成された音波です。

アクティブVSパッシブ: どちらが優れているのか?

アクティブノイズキャンセリング(ANC)とパッシブノイズキャンセリングの主な違いと特徴を比較し下記の表に示します。

特徴アクティブノイズキャンセリングパッシブノイズキャンセリング
どうやって音を消すか小さなマイクを使って外の騒音を拾い、その音を打ち消す音を作り出すイヤーパッドやヘッドホンの形で、耳に入ってくる音を物理的に遮る
得意な音の種類飛行機のエンジン音や車の振動音など、低くて一定の音に効果的人の話し声や風の音など、高い音や変わりやすい音に効果的
電池や電源電池や充電が必要で、電力で動く電池や電源は不要
価格マイクや音を処理するチップが必要なので、少し高くなることが多い特別な機械は使わないので、一般的にコストは低め
アクティブVSパッシブ

アクティブノイズキャンセリングを理解する上で、パッシブノイズキャンセリングとの違いを知ることが重要です。

パッシブノイズキャンセリングは、物理的な遮音や吸音によってノイズを軽減する方法です。例えば、耳を覆うヘッドホンのイヤーパッドや、耳栓のような形状のイヤホンがこれに該当します。材質や構造によって外部の音を遮断し、耳に入る音量を減らすのが特徴です。

一方、アクティブノイズキャンセリングは先ほど説明したように、電子的に逆位相の音波を生成して騒音を打ち消します。つまり、パッシブな方法が「音を遮る」のに対し、アクティブな方法は「音と音で打ち消し合う」という違いがあるのです。

多くの高性能なノイズキャンセリングヘッドホンやイヤホンは、このパッシブとアクティブの両方の技術を組み合わせて使用しています。パッシブな方法で高周波ノイズを遮断し、アクティブな方法で低周波ノイズを相殺するという具合です。

パッシブノイズキャンセリングは素材や構造を利用してノイズを減少させるため、電源が必要ないですがアクティブノイズじゃんセリングに関してはマイクロフォンや電子回路、チップに供給する電力が必要です。そのため、ANC対応のイヤホンではノイズキャンセリングがオンだとオフの状態と比較して電池の持ちが悪くなっています。

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それぞれのノイズキャンセリングの特長として、
アクティブノイズキャンセリングは低周波のノイズに強く、パッシブノイズキャンセリングは高周波のノイズ減衰に強いです。

そのため、アクティブノイズキャンセリングを搭載したイヤホンなどでは、パッシブノイズキャンセリングの対策も組み合わせて行なっていることが多いです。

補足: アクティブノイズキャンセリングに使用されるドライバーユニット

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イヤホンにはドライバーユニットと呼ばれる音を出す部品が搭載されています。
ドライバーユニットには主にDD(ダイナミック)型とBA(バランスドアーマチュア)型の2種類があります。

ドライバーユニットによって特徴は異なりますが、一般的にダイナミック型は低域の再生が得意で、反対にBA型は高音域の再生能力が高いです。そのため、ANC搭載のイヤホンの一部はダイナミック型とBA型のドライバーユニットの両方を搭載したハイブリッドタイプのものがあります。

ダイナミック型は、スピーカーの原理に近い形で動作するため、大きな振動板を有することから重低音を得やすいのが特徴です。このため、ダイナミック型単体のイヤホンでは、低音が強調される傾向にあります。しかし、高音域では再現性がやや劣ることがあるため、BA型のドライバーユニットがその役割を補完します。

BA型は、非常に小さい動きで高精度な音を再現することが可能で、特に中高音域において鮮明で繊細な音を出すことが得意です。しかし、単体のBA型イヤホンは低音域の再現が弱いことが多いため、ダイナミック型との組み合わせが求められることが多いです。

ハイブリッドタイプのイヤホンは、これら2つのドライバーの特徴を最大限に活かし、広い音域での再生能力を追求しています。しかし、それぞれのドライバーの特性をバランスよく活かすための設計やチューニングが重要となり、その品質や技術によって音質の差が大きく出ることもあります。

イヤホンにおけるアクティブノイズキャンセリング技術

アクティブノイズキャンセリング技術は、特にイヤホンにおいて革命的な進化を遂げています。コンパクトな筐体に高度な技術を詰め込むことで、どこでも快適な音環境を作り出すことができるようになりました。

イヤホンでのANC実装の特徴

  1. 小型化技術
    イヤホンという限られたスペースに、マイク、プロセッサ、バッテリーなどを効率的に配置する技術が飛躍的に向上しています。ナノテクノロジーの進歩により、より小さく、より高性能な部品の使用が可能になりました。
  2. マルチマイクシステム
    最新のANCイヤホンは、各イヤピースに複数のマイクを搭載しています。外部向けマイクが周囲の騒音を検知し、内部向けマイクがイヤホン内の音を監視することで、より精密なノイズキャンセリングを実現しています。
  3. 適応型アルゴリズム
    AI技術の発展により、イヤホンのANCシステムは周囲の音環境に応じて自動的に調整を行うことができるようになりました。例えば、街中の騒音と飛行機内の騒音では、異なるノイズキャンセリングパターンを適用するといった具合です。
  4. バッテリー技術
    ANC機能は比較的電力を消費しますが、バッテリー技術の進歩により、長時間の使用が可能になっています。最新のモデルでは、ANCをオンにしても5時間以上の連続使用が可能なものも珍しくありません。

アクティブノイズキャンセリングの利点と欠点

アクティブノイズキャンセリング技術は、私たちの音体験を大きく変える可能性を秘めています。しかし、他の技術と同様に、ANCにも長所と短所があります。ここでは、その両面を詳しく見ていきましょう。

利点

  1. 騒音からの解放
    最も明白な利点は、周囲の騒音を大幅に軽減できることです。これにより、騒がしい環境でも音楽や通話を楽しんだり、集中して作業したりすることができます。
  2. 聴力保護
    騒音を軽減することで、音量を上げすぎずに済むため、長期的な聴力保護につながります。特に、日常的に騒がしい環境で過ごす人々にとっては重要な利点です。
  3. ストレス軽減
    継続的な騒音暴露はストレスの原因となりますが、ANCはこれを軽減し、メンタルヘルスの向上に寄与します。
  4. 音質向上
    背景ノイズが減ることで、音楽やポッドキャストなどのコンテンツをより鮮明に聴くことができます。特に繊細な音の表現が際立ちます。
  5. 睡眠の質改善
    ANC機能付きのイヤホンを使用することで、飛行機内や騒がしいホテルでも良質な睡眠を取ることができます。
  6. 生産性向上
    オフィスや公共の場所での集中力が高まり、作業効率が向上します。特に、クリエイティブな作業や精密な編集作業を行う際に効果を発揮します。

欠点

  1. バッテリー消費
    ANC機能は比較的電力を消費するため、デバイスのバッテリー持続時間が短くなる傾向があります。
  2. コスト
    高品質なANC技術を搭載したデバイスは、一般的に高価格帯に位置します。
  3. 音質への影響
    一部のANCシステムでは、音楽の細かいニュアンスが失われたり、わずかに音質が変化したりすることがあります。
  4. 圧迫感
    ANCを使用すると、耳に軽い圧迫感を感じる人もいます。これは、ノイズキャンセリング効果による気圧の変化が原因です。
  5. 環境音の遮断
    強力なANCは、時として必要な環境音(例:交通音や人の声)も遮断してしまい、状況によっては危険を招く可能性があります。
  6. 適応時間
    初めてANCを使用する人は、静寂に慣れるまでに少し時間がかかることがあります。
  7. 技術的限界
    現在のANC技術では、突発的な高周波ノイズや不規則な音に対しては効果が限定的です。

これらの欠点は、技術の進歩とともに徐々に改善されつつあります。例えば、最新のANCシステムでは、ユーザーが環境音を聞くモードを選択できたり、音質への影響を最小限に抑えるアルゴ

ANC対応イヤホン

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