写真を撮影するにあたって、写真の質を左右する重要な要素が「F値」です。
本記事では、F値の基礎から応用までを深掘りし、写真撮影におけるその影響力を解明します。特に、EV値、露出、絞り値の観点から、撮影技術の向上を目指します!
F値(絞り値)の基礎知識:写真における役割
F値は、レンズの開口部の大きさや”明るさ”を表す値です。数字が小さいほどレンズの開口部が大きく、多くの光を通すので明るい写真が撮れます。
F値を小さくすると明るくなるメリットはありますが、被写界深度が浅くなるデメリットもあります。ポートレートで背景をぼかしたい時はF1.4などの明るい側の数値が良いですし、風景とか全体がくっきりしたほしい時はF8やF11などの方が良いでしょう。
絞り値と露出の関係:写真の明るさを決める
露出は、カメラセンサーが受け取る光の量を指し、絞り値(F値)、シャッタースピード、ISO感度の3つによって決定されます。
その中で、F値が小さいとレンズはより多くの光を取り込み、写真が明るくなりますが、露出オーバーのリスクがあります。一方、F値を大きくすると光の量は減少し、写真は暗くなり、被写界深度が深くなることでピントの合う範囲が広がりますが、露出不足の可能性が出てきます。したがって、理想的な露出を得るためには、シーンや目的に応じて適切なF値を選択することが重要です。
F値とEV値の関係:露出補正
EV値(Exposure Value)は、露出の組み合わせを数値化したものです。カメラのEV補正機能を使うと、カメラが自動で計算した露出設定から、明るさを調整できます。詳しい F値とEV値については下記の記事に記述しています!
単焦点レンズとズームレンズ: F値の違い
レンズによってもF値の選択肢は変わります。単焦点レンズは一般的にF値が小さく設定できるため、大きなボケを生み出す写真に適しています。一方で、ズームレンズはF値が大きいものが多く、様々な焦点距離で撮影できるため、柔軟な撮影が可能ですが、大きなボケは期待できないことがあります。
単焦点レンズに関しては絞り値が開放(F値が一番小さいとき)の値が固定ですが、ズームレンズに関してはズーム操作を行なって焦点距離を変更するとF値が変動する場合が多いです。
F値を焦点距離と有効口径から計算する ( F値 = 焦点距離 / 有効口径 )
F値 = 焦点距離 / 有効口径
F値は、レンズの焦点距離を有効口径(開口部の直径)で割った値で表されます。
この値が小さいほど、レンズの開口部が大きく、多くの光をカメラセンサーに導くことができます。つまり、F値が小さいほどレンズは明るくなります。
その理由は、レンズを通過する光の量が開口部の面積に比例するためです。開口部の直径を大きくすれば面積が広がり、光の通過量が増えます。
例えば、F2のレンズからF1.4に変更すると、開口部の直径が√2倍(約1.4倍)に広がり、面積は2倍になります。そのため、レンズを通過する光の量も2倍になり、画像は約2倍の明るさになるのです。
このようにF値は、レンズの明るさを数値で表現する尺度となっており、小さいF値ほど明るいレンズであることを示します。
F値を活用した撮影テクニック
F値を変更することで、写真の表現を大きく変えることができます。例えば、F値を小さくすることで背景のボケを強調したり、F値を大きくすることで風景の細部までクリアに撮影したりできます。重要なのは、撮影したいシーンや被写体に応じて、最適なF値を選ぶことです。
F値を理解し、適切に操作することで、カメラマンは撮影の可能性を大きく広げることができます。この記事が、あなたの撮影技術の向上に役立つことを願っています。
応用編: F値がなぜ約1.4倍(√2倍)変化すると一段分変化なるのか
なぜF値が約1.4倍(√2倍)ずつ変化すると、一段分明るくなったり暗くなったりするのか疑問に感じたことはありますか?
結論からいうとレンズの絞りバネが円状で、
円の面積 = πr^2、円の直径をR とすると直径√2倍すると円の面積が2倍になり円を通る光の量が2倍になるためです。
ここで大事なのは円の半径ではなく直径が√2倍というところです。仮に半径が√2倍になると円の面積の公式から光の通る量は1/4になってしまいます。
*円周率をπ、円の半径をr、 円の直径をRとした場合
F値はレンズの開口の大きさを示す値で、レンズを通過する光の量を決定します。F値が小さいほど開口は大きく、結果としてより多くの光がカメラセンサーに到達し、画像が明るくなります。このF値は、先ほど説明したようにレンズの焦点距離を有効口径(開口部の直径)で割ったものであり、式で表すとF値 = 焦点距離 / 有効口径となります。
F値の変化は、光の量を制御するための重要なメカニズムです。F値を一段階変更することでレンズを通過する光の量が2倍または半分になり、これはレンズの開口部の面積が2倍になるか、または半分になることを意味します。
円の面積は円周率πを用いて、面積=πr^2 (rは半径)と表されます。この面積の変化を達成するためには、開口部の直径(R=2r)を√2(約1.4)倍に増減させる必要があります。例えば、F値がF2からF1.4に変わると、有効口径が約1.4倍になり、面積が2倍となるため、レンズを通過する光の量が約2倍になります。
終わりに
この記事では、F値の基本的な概念に加え、いくつかの応用的な話題についても触れました。撮影実践において、計算式や公式の細かい知識が直接的に重要となることは少ないかもしれませんが、F値とは何か、そしてその変化が写真にどのような影響を与えるのかを理解することは非常に大切です。
撮影時のF値の選択は、写真の出来上がりに重要な役割を果たすため、ぜひその変化についての理解を深めてくださいね!
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